
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばり
奥歯の同じところにむし歯を繰り返していたり、しっかり歯みがきができているのにむし歯や歯周病になりやすい方は、もしかしたら気付かないうちに歯を食いしばっていたり歯ぎしりをしているかもしれません。私たちの歯は上下で噛み合うように並んでいますが、実際に上下の歯が噛み合っている時間は1日に20分程度しかないと言われています。普段口を閉じているときも奥歯まで噛み合うことはなく、会話や食事をしている時に歯と歯が接触している時以外は、歯と歯の接触は起きません。それ以上に歯と歯が接触している時間が長い場合は「上下歯列接触癖(TCH:Tooth Contact Habit)」が疑われます。上下歯列接触癖(TCH)は放っておくと、顎関節症やむし歯の原因となる恐れがあります。
歯ぎしり食いしばりは日本の社会構造の中で生まれた近代病です。ストレスに起因するため、これからもっともっと患者様が増えると思われます。是非ご相談ください。
日常的に歯に強い力がかかると、詰め物や被せ物が取れやすくなったり、歯に亀裂やヒビが入りむし歯や歯がしみる原因になります。また、歯に負担がかかることで歯周病を悪化させるリスクが高まります。さらに、顎に負担がかかることで顎関節症になったり、無関係なようですが、偏頭痛や肩こりの症状を悪化させていることもあります。しっかり歯みがきをしているのに同じ場所に繰り返しむし歯ができたり、歯周病が良くならない方、顎の痛みがあったり口が開けづらい方(顎関節症の方)は、歯の食いしばりや歯ぎしりに原因があるのかもしれません。
ストレス
日常のストレスが原因でご自身では無意識のうちに歯を食いしばってしまったり、歯ぎしりをしてしまうことがあります。
スポーツやお仕事などの習慣
スポーツをしている方や、重い荷物を運ぶことが多い方、介護を行っている方などは、無意識のうちに歯の食いしばりや噛み締めが習慣化してしまっていることがあります。
噛み合わせ・骨格
噛み合わせの異常や顎の偏位、歯の詰め物が合っていないなどが原因で歯を噛みしめたり歯ぎしりが起きることがあります。眠っている間にも食いしばってしまう場合があり、ご自身で注意していても改善が得られません。
消化器の疾患
消化器の病気のサインとして無意識に歯ぎしりをしている可能性もあります。ただし、逆流性食道炎など消化器系のご病気をお持ちの場合は、歯ぎしりをすることで消化器から流れこむお口のなかの酸を緩和し、むし歯のリスクを下げているという可能性があります。非常にまれですが、歯ぎしりがお口の健康に役立っていることもあります。
顎に負担をかけるような習癖(くせ)をなくすための指導を行います。無意識に歯と歯を噛み合わせるような習癖、上下歯列接触癖(TCH:Tooth Contact Habit)があると、簡単に歯を食いしばることができるようになり、顎だけではなく歯や、歯ぐき、顎関節、顎の筋肉に負担がかかり、むし歯や歯周病、顎関節症などの疾患を引き起こす原因になることがあります。こういった習癖を改善するための指導(認知行動療法)や、食事やその他習慣に関するアドバイスも行います。
眠っている間に歯ぎしりや食いしばりがある場合は、これらを改善する目的にマウスピースを作製します。マウスピース装着中は、直接歯や顎などに力がかからなくなり、歯に亀裂やヒビが入るのを防ぐだけでなく、歯周病の悪化を抑えたり、顎の関節にかかる力も軽くなるため顎関節症の予防にもなります。通常、就寝時のみ装着します。ただし、効果には個人差が大きく、劇的に改善する方もいれば効果が出にくい方もいます。費用は保険診療のため3割負担で3,000円〜5,000円程度です。
※市販のマウスピースの使用には注意が必要です。歯ぎしり対策用のマウスピースには市販されているものもありますが、使い方によっては噛み合わせや歯並びを悪化させてしまう恐れがあります。お口の健康や安全のために、クリニックできちんと型とりをして作製したマウスピースをお使いください。
ボツリヌス治療というと美容医療のイメージが強いですが、歯科医療では顎関節症や咬筋肥大などの治療にも用いられています。筋肉の緊張を緩める効果を利用し、なかなか改善しない歯の食いしばりや歯ぎしりの治療に用いられることもあります。
食いしばり、歯ぎしりの治療には、原則マウスピース治療や生活改善の指導を行いますが、それでも改善が得られない方や、マウスピースを就寝時装着することが困難な方には咬筋ボツリヌス治療をおすすめしています。
咬筋ボツリヌス治療、ボツリヌス菌から抽出される天然のたんぱく質を筋肉へ注射し、神経から筋肉への命令伝達を阻害することで異常な筋肉運動を和らげたり止めたりすることで効果を発揮します。筋肉の緊張を和らげることにより、食いしばりや歯ぎしりの改善、また、顎に力がかかりすぎるのを防ぎ、顎関節症の症状を緩和できます。ボツリヌス菌そのものを注射するのではないため、感染などの心配はありません。
咬筋ボツリヌス治療の効果は、個人差はありますが3~6か月程度継続します。
効果は永続的ではなくまた、効果が出るまでの期間にも個人差がありますので、食いしばりや歯ぎしりなどの症状がなくなってきたと実感できるまでは定期的に治療を受けていただくことをおすすめします。
注射部位に多少の赤みや腫れが残ることがありますが、通常1~2日で落ち着きます。また、注射した箇所の周囲に一時的に、かゆみ、痛み、発疹などの症状が出ることがあります。
稀に出る副作用として腫れが強く出たり、内出血を起こしたりすることがありますが、その場合は1~3週間ほどで目立たなくなります。
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